ゴルフ会員権関連コラム

ゴルフ会員権関連コラム

2022/12/28

法人の場合、ゴルフ会員権の会計処理は?注意点から仕訳例までくわしく解説!

法人の場合、ゴルフ会員権の会計処理は?注意点から仕訳例までくわしく解説!

 

法人がゴルフ会員権を保有する場合は、購入や売却などのケースごとに適切な会計処理が必要です。そして適切な会計処理を行うためには、ゴルフ会員権に関する勘定科目や仕訳について正しく理解していなければなりません。

そこでこの記事では、ゴルフ会員権の会計処理や注意点についてくわしく解説していきます。経理担当者にとって必見の内容となっていますので、ご一読ください。

 

 

 

 

ゴルフ会員権の会計処理は?

ゴルフ会員権の会計処理について、はじめに以下の点を確認していきましょう。

Ø  ゴルフ会員権の種類

Ø  ゴルフ会員権に該当する費用

Ø  特定の個人が利用した場合

ゴルフ会員権の種類

ゴルフ会員権の種類は、大きく「預託金会員制」と「株主会員制」に分類できます。

会計処理上の勘定科目はいずれも「資産」ですが、「ゴルフ会員権」と「投資有価証券」に分かれます。

会員権の種類

内容

勘定科目

預託金会員制

会員がゴルフ場に一定の金額を預託金として預けて、ゴルフ場の利用券を取得する制度

ゴルフ会員権

株主会員制

会員がゴルフ場に一定の金額を出資し、株主となることでゴルフ場の利用権を取得する制度

投資有価証券

実態としては、大部分のゴルフ場が「預託金会員制」となっています。

ゴルフ会員権に該当する費用

ゴルフ会員権を購入すると、以下の費用が発生します。

項目

内容

会員権

会員権募集時に預託金として預入、または株式として出資

入会金

入会時に支払う費用(退会時には返還されない)

名義書換料

会員の名義書き換えにかかる費用

取扱手数料

会員権業者へ支払う斡旋手数料

年会費

毎年度ゴルフ場へ支払う会費

プレー代

ゴルフプレー代(ロッカー代も含む)

接待飲食代

クラブハウス内レストランでの飲食代

ゴルフ場利用税

ゴルフ場利用に伴う地方税

特定の個人が利用した場合

特定の役員や従業員などの個人が利用する会員権やその他の支出は、「役員報酬」や「給料手当」で処理します。

なぜなら、法人名義の会員権であっても業務に関係しない利用であれば、利用する個人に対する給与扱いになるからです。

ゴルフ会員権の会計処理の注意点

ここからは、会計処理の注意点について、以下の4つのケースごとに解説していきます。

Ø  購入時

Ø  運用時

Ø  売却時・預託金返還時

Ø  評価損計上時

購入時

会計処理の取り扱い

「会員権」だけでなく、購入時に支出する「入会金」「名義書換料」「取扱手数料」は、会員権を取得するために要した金額とみなされます。

そのため、購入時に支出した金額は全て「ゴルフ会員権」または「投資有価証券」(資産)に計上します。

費用

勘定科目(預託金会員制)

勘定科目(株主会員制)

会員権

ゴルフ会員権

投資有価証券

入会金

ゴルフ会員権

投資有価証券

名義書換料

ゴルフ会員権

投資有価証券

取扱手数料

ゴルフ会員権

投資有価証券

消費税の取り扱い

会員権をゴルフ場から取得する場合、「会員権本体」は課税対象外になります。

一方、会員権本体以外に発生する「入会金」「名義書換料」「取扱手数料」は課税対象です。

なお、会員権を会員権業者などの第三者から購入する場合は、課税対象になるので覚えておきましょう。

費用

消費税

会員権

対象外(第三者から購入する場合は課税)

入会金

課税

名義書換料

課税

取扱手数料

課税

運用時

会計処理の取り扱い

法人の業務上「年会費」「プレー代」などの運用時の費用は、すべて「交際費」として処理します。

なお、名義書換料は購入時には「資産」に計上しますが、2回目以降は「交際費」となることに注意が必要です。

費用

勘定科目(預託金会員制)

勘定科目(株主会員制)

年会費

交際費

交際費

プレー代

交際費

交際費

接待飲食代

交際費

交際費

名義書換料

交際費

交際費

ゴルフ場利用税

交際費

交際費

消費税の取り扱い

ゴルフ場利用税は勘定科目が「交際費」でも、消費税は対象外になる点に注意が必要です。その他の費用は全て課税対象です。

費用

消費税

年会費

課税

プレー代

課税

接待飲食代

課税

名義書換料

課税

ゴルフ場利用税

対象外

売却時・預託金返還時

会計処理の取り扱い

会員権を売却したときは売却益が発生すれば事業年度の「益金」とし、売却損が発生すれば事業年度の「損金」に計上します。

消費税の取り扱い

ゴルフ場から預託金が返還されるときは「課税対象外」、第三者に売却するときは「課税取引」となります。

内容

消費税

預託金の返還

対象外

第三者に会員権を売却

課税

評価損計上時

会計処理の取り扱い

ゴルフ会員権は、購入時に支出した金額(会員権、入会金、名義書換料など)を取得価額で評価します。

ただし「預託金会員制」「株主会員制」ともに、著しい時価の下落または発行会社の財政状態が著しく悪化した場合は評価損を計上します。

評価損計上時の会計処理は、以下のとおりです。

会員権の種類

減損時の計上方法

預託金会員制

預託金を上回る部分(入会金など)

帳簿価額から直接減額し、評価損を計上

預託金を下回る部分

貸倒引当金を計上

(回収可能性に疑義が生じた場合)

株主会員制

帳簿価額から直接減額し、評価損を計上

◆預託金会員制の場合

帳簿価額

入会金

→評価損計上

預託金

→貸倒引当金計上

→時価

帳簿価額のうち、預託金を上回る額(入会金、名義書換料などの部分)については、直接、評価損を計上します。さらに時価が預託金の額を下回る場合は、その部分について貸倒引当金を計上します。

◆株主会員制の場合

帳簿価額

→評価損計上

 
 

→時価

 

通常の有価証券と同じく評価損を計上して、直接、帳簿価額を減少させます。

税務上の取り扱い

税法上は、原則として評価損の計上は認められておりません。評価損を計上した場合には、法人税の申告時に課税所得について、加算調整する必要があります。

ただし、例外的に評価損等の計上が認められる場合があるので、国税庁の法人税基本通達から確認してみましょう。

会員権の種類

評価損の計上が認められる要件

預託金会員制

退会の届出、預託金の一部切捨て、破産手続開始の決定等の事実に基づき預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化した場合において、その顕在化した部分については、金銭債権として貸倒損失及び貸倒引当金の対象とすることができることに留意する。

株主会員制

(1)ゴルフ会員権を取得して相当の期間を経過した後に、発行法人について次に掲げる事実が生じたこと。

w  特別清算開始の命令があったこと。

w  破産手続開始の決定があったこと。

w  再生手続開始の決定があったこと。

w  更生手続開始の決定があったこと。

(2)事業年度終了の日におけるゴルフ会員権の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額が、そのゴルフ会員権を取得した時のその発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと。

出典

国税庁「第3款 有価証券の評価損 9-1-9

国税庁「第3款 会費及び入会金等の費用 9-7-12

ゴルフ会員権の仕訳例

ゴルフ会員権の仕訳について、上述の4つのケースごとに具体例を用いて解説していきます。

購入時

(1)ゴルフ会員権を購入し、預託金400万円を支払った。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

ゴルフ会員権

4,000,000

普通預金

4,000,000

ゴルフ会員権は「資産」になるので、借方に計上します。

(2)会員権購入時に、入会金200万円(税抜)を支払った。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

ゴルフ会員権

2,000,000

普通預金

2,200,000

仮払消費税等

200,000

購入時に支払った入会金の勘定科目は「ゴルフ会員権」に計上し、課税対象になります。

運用時

(1)ゴルフ会員権の年会費40万円(税抜)を支払った

借方

借方金額

貸方

貸方金額

交際費

400,000

普通預金

440,000

仮払消費税等

40,000

年会費は交際費に計上し、課税対象になります。

(2)ゴルフ場でプレー代2万円(税抜)を支払った

借方

借方金額

貸方

貸方金額

交際費

20,000

普通預金

22,000

仮払消費税等

2,000

プレー代は交際費に計上し、課税対象になります。

売却時・預託金返還時

(1)600万円で購入したゴルフ会員権を、第三者に750万円(税抜)で売却した。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

普通預金

8,250,000

ゴルフ会員権

6,000,000

ゴルフ会員権売却益

1,500,000

仮受消費税等

750,000

売却益が発生した場合は、「ゴルフ会員権売却益(特別利益)」として貸方に計上します。第三者に会員権を売却した場合は、課税対象です。

(2)600万円で購入したゴルフ会員権を退会し、預託金400万円が返還された。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

普通預金

4,000,000

ゴルフ会員権

6,000,000

ゴルフ会員権売却損

2,000,000

入会金200万円は返還されないため、「ゴルフ会員権売却損(特別損失)」として借方に計上します。返還された預託金は、課税対象外です。

評価損計上時

◆預託金会員制

(1)預託金を上回る部分の200万円について、評価損を計上した。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

ゴルフ会員権評価損

2,000,000

ゴルフ会員権

2,000,000

預託金を上回る部分(入会金など)の評価損は、簿価を直接減少させます。

(2)預託金を下回る部分の100万円について、貸倒引当金を計上した。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

貸倒引当金繰入額

1,000,000

貸倒引当金

1,000,000

預託金を下回る部分の評価損は、回収の可能性に疑義が生じた場合に貸倒引当金を計上します。

◆株主会員制

時価の下落350万円について、評価損を計上した。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

ゴルフ会員権評価損

3,500,000

ゴルフ会員権

3,500,000

時価の下落分の評価損は、簿価を直接減少させます。

まとめ

この記事では、ゴルフ会員権の会計処理においての注意点や仕訳例について、解説してきました。

法人がゴルフ会員権を保有する場合には、様々なケースが発生するため適切に会計処理する必要があります。そのためには、経理担当者が正しい知識を身につける必要があるでしょう。

近年、コロナ禍の影響からゴルフ人気が高まっているため、会員権価格の動向を注視してみてはいかがでしょうか。