ゴルフ会員権関連コラム

ゴルフ会員権関連コラム

2023/03/10

ゴルフ会員権と消費税|購入・売却時の会計処理上の取扱いとは

ゴルフ会員権と消費税|購入・売却時の会計処理上の取扱いとは

ゴルフ会員権の消費税の取り扱いには、購入時や売却時などの取引ごとに適切な処理が必要です。

消費税の会計処理を正しく行うためには、ゴルフ会員権の取引の内容について正確に理解していなければなりません。

そこでこの記事では、ゴルフ会員権の消費税の取り扱いについて、注意すべき点をくわしく解説していきます。

ゴルフ会員権を保有する法人の経理担当者にとって必見の内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

 

ゴルフ会員権と消費税

ゴルフ会員権の消費税の取り扱いについては、国税庁のページに以下の記載があります。

【概要】

ゴルフクラブが発行するゴルフ会員権には株式形態のものと金銭を一定期間預託する預託形態のものとがありますが、基本的にはその形態の相違により消費税の課税関係が異なることはありません。

l  ゴルフクラブの課税関係

l  ゴルフ会員権業者の課税関係

l  ゴルフ会員権所有者の課税関係

参照:タックスアンサーNo.6249ゴルフ会員権|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6249.htm

ここからは、上記国税庁のページの内容について、わかりやすく解説していきましょう!

ゴルフクラブの課税関係

ゴルフクラブの課税関係は次の表のとおりです。

内容

消費税

備考

会員権の発行(出資金や預託金の受領)

対象外

資産の譲渡にあたらない

入会金の受領(返還しない)

課税

対価性がある

プレー代、ロッカー使用料の受領

課税

対価性がある

ゴルフクラブが会員権を発行する場合は、出資金や預託金のいずれの受領においても、資産の譲渡(=物の売買)にあたらないため消費税はかかりません。

一方、入会金やプレー代、ロッカー使用料は、対価性(サービスを提供に対してお金を受け取る)があるため、消費税がかかります。

ゴルフ会員権業者の課税関係

ゴルフ会員権業者の課税関係は次の表のとおりです。

内容

消費税

備考

手数料の受領

課税

対価性がある

会員権の売買

課税

資産の譲渡にあたる

ゴルフ会員権業者が受け取る手数料は、対価性(サービスを提供に対してお金を受け取る)があるため消費税がかかります。

会員権所有者から会員権を買い取った場合、また買い取った会員権を販売する場合も、資産の譲渡(=物の売買)にあたるため消費税がかかります。

ゴルフ会員権所有者の課税関係

ゴルフ会員権所有者の課税関係は、次の表のとおりです。

内容

消費税

備考

年会費の支払

課税

対価性がある

会員権業者から会員権を購入

課税

対価性がある

ゴルフクラブから会員権を購入

対象外

資産の譲渡にあたらない

ゴルフ会員権所有者が支払う年会費、また業者から会員権購入のために支払う代金は、対価性(サービスを提供に対してお金を受け取る)があるため消費税がかかります。

一方、ゴルフクラブから直接会員権を購入する場合は、出資金や預託金になるため資産の譲渡(=物の売買)にあたらず消費税はかかりません。ただし、入会金には消費税がかかります。

ゴルフ会員権購入時の消費税の取り扱い

ここからは、ゴルフ会員権を購入する側の視点で、消費税の取り扱いを深掘りしていきます。

ゴルフ会員権を購入する方法は、次の2つの方法があります。

l  会員権業者から購入する方法

l  ゴルフクラブから直接購入する方法

会員権業者から購入する方法

会員権業者から購入する場合は、上述のとおり対価性があるため消費税がかかります。

ここでの対価性とは、会員権業者を通したサービスの提供に対してお金を支払うこととみなされるからです。

なお、ゴルフ会員権は消費税法上「非課税となる有価証券の譲渡の範囲」に含まれないと明記されているため、課税対象となることが明らかです。

参照:非課税となる有価証券の範囲と課税売上割合の関係|国税庁

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/17/09.htm

ゴルフクラブから直接購入する場合

ゴルフクラブから直接購入する場合は、上述のとおり資産の譲渡にあたらないため消費税がかかりません。

ここでの資産の譲渡にあたらない理由について、解説します。

ゴルフクラブにとって、株主会員制の場合は「出資金の取得」、預託金制の場合は「預託金の預り」と扱われるため、資産が譲渡(=物の売買)することにはならないからです。

そのため、ゴルフクラブから直接購入する場合、預託金には消費税がかからないことを覚えておきましょう。

ただし、入会金は将来返還されるものではなく、ゴルフ場を利用できるといった対価性があるため、消費税がかかります。

ゴルフ会員権売却時の消費税の取り扱い

今度は、ゴルフ会員権を売却する側の視点で、消費税の取り扱いを深掘りしていきます。

ゴルフ会員権を売却する場合は、以下の2つのケースがあります。

l  第三者に会員権を売却する場合

l  ゴルフクラブから、退会により預託金が返還される場合

第三者に会員権を売却する場合

ゴルフ会員権を第三者に売却する場合は、消費税がかかります。

第三者への売却は、資産の対価としてゴルフ会員権の代金を受け取ると見なされるからです。

繰り返しになりますが、「非課税となる有価証券の譲渡の範囲」に含まれないことも理由になります。

ゴルフクラブから、退会により預託金が返還される場合

ゴルフクラブから、退会により預託金が返還される場合は、消費税がかかりません。

株主会員制の場合は「出資金の返還」、預託金制の場合は「預託金の返金」と扱われるため、資産の譲渡(=物の売買)にはあたらないからです。

法人か個人かによる消費税の取り扱い

ゴルフ会員権の消費税の取り扱いには、法人か個人かによっても異なってきます。

消費税とはそもそも、事業者が「事業として」行った資産の譲渡等の取引によってかかるのが原則です。

ここからは、事例をもとに法人と個人による消費税の取り扱いを確認していきましょう。

【事例1】A法人が持っているゴルフ会員権をB法人に譲渡した。

   A法人は、資産を譲渡したため、消費税がかかる。

   B法人は、支払った金銭の対価として会員権を得たため、消費税がかかる。

 

【事例2】A法人が持っているゴルフ会員権をC個人に譲渡した。

   A法人は、資産を譲渡したため、消費税がかかる。

   C個人は、支払った金銭の対価として会員権を得たので消費税がかかる。

【事例3】C個人が持っているゴルフ会員権をB法人に譲渡した。

   C個人は、事業として資産を譲渡したわけではないので、消費税はかからない。

   B法人は、支払った金銭の対価として会員権を得たため、消費税がかかる。

【事例4】C個人が持っているゴルフ会員権をD個人に譲渡した。

   C個人は、事業として譲渡したわけではないので、消費税はかからない。

   D個人は、事業として購入したわけではないので、消費税はかからない。

まとめ

最後に、この記事のポイントをおさらいしておきましょう。

【消費税がかかる取引】

l  第三者(会員権業者など)を通してゴルフ会員権を売買する場合

【消費税がかからない取引】

l  ゴルフクラブから直接ゴルフ会員権を購入する場合

l  ゴルフクラブ退会時に預託金が返還される場合

l  個人がゴルフ会員権の売買を行う場合

ゴルフ会員権と消費税の取り扱いは、さまざまなケースにより異なってくるため、取引内容をきちんと理解しておく必要があります。

消費税の取り扱いに迷ってしまったときは、税理士などの専門家に相談してみるのがおすすめです。